KOHII
Vol.30 蔵前放浪記

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Vol.30 蔵前放浪記

僕たちはいつもコーヒーで繋がる街を歩くWalkers。気の向くままコーヒーのアロマに溢れる街で、コーヒーを楽しむ人々との出会いを独自の目線で切り取り、ここにシェアします。 僕たちはコーヒー、ヒト、マチの関連性を描く人たちと繋がりたいです。日本各地のKOHII仲間と一緒にコーヒーの魅力を広げていきます。 Seiya, KOHII Walkers@Kuramae

春と夏の境目。 いつもと変わらず蔵前は新しさと風情で溢れ返っていた。雑多な中で居心地の悪さを感じるわけではなく、その世界に溶け込むかのように、異様に心地が良いのである。 この街を訪れると何故か懐かしんでしまう。縁もゆかりもないが、僕はこの街の魅力を伝えたい。 あえて白黒でこの街を切り取る。1日かけて蔵前を放浪したリアルな記録。色褪せないこの街の魅力を是非感じてほしい。

人を見て歴史を見る

放浪の醍醐味は、偶然を楽しむこと。 まず僕は現地の人を見た。 話さずとも現地の人を見ているだけで、その地のルールや雰囲気がなんとなく感じられる気がする。 現地の人を見ることは、その街の歴史を見ることに近いのかもしれない。 日常から一歩二歩外れて、自分とは異なるペースで走る人と時間を共にすることも大事だ。蔵前を訪れることで自分のペース、生き方を見直すきっかけになった。 時の流れはあまりにも速くて残酷だ。こればっかりはどうにも変えられない。ならば、時の流れに身を任せて美しく歳を重ねたい。

ふと現れる職人さん

放浪しているといきなり現れる職人さん。お豆腐屋のご主人。奥様と会話しながら揚げ豆腐を作っていた。 あてもなく歩いて楽しめる街はそう多くはないはず。蔵前には昔ながらの製法で、変わらない美味しさを作り続けている職人さんが多くいる。 職人気質の人が集う街なのだ。 そこで僕は思い出した。この街にはコーヒー業界の職人、西谷さんがいる。

COFFEECOUNTER NISHIYA

COFFEECOUNTER NISHIYAは今年の2月に渋谷から蔵前に移転したばかり。僕はお気に入りの「ラテマキアート」をオーダーした。 これがたまらなくウマイ。 フォームミルクのきめ細かさが病みつきになる。泡が上唇に乗るほど優しく、とっても甘い。 僕はカップの縁についた泡までスプーンで綺麗にすくって食べ尽くした。あまり大人っぽくないかもしれないけど、許してほしい。それほどウマイのだ。 滞在時間は10分ほど。写真もこの一枚しか撮っていない。サクッと楽しむのがちょうどいい。 西谷さんの接客は相変わらず入店から退店までとてもスマートだった。

いつも変わるのは「人」

蔵前は浅草に程近くにある言わば観光地。未だにコロナは収束していないが、兆しは見え始めている。だからか、平日にも関わらず多くの人で賑わっていた。 大通りを歩いていると、バスを待っているご年配夫婦を見かけた。もう慣れっこなのか、よそ者たちの賑わいにピクリとも動じない。僕もこんな懐のデカい人になりたい。 蔵前という街に魅力があるからこそ、人が集まっているのはたしかだ。現地の人からしたらこの景色をどう思うのか。 でも、街は変わっているようで何も変わっていないのかもしれない。いつも変わってしまうのは、人間の方なのかも。 僕もあと数十年したら、この街の景色をどう見るのかな。

Nui. HOSTEL & BAR LOUNGE

多様な人が入り混じる街、蔵前。 僕は「あらゆる境界線を越えて、人々が集まる場所」をコンセプトにしているNui. に向かった。だが、向かっている最中に

雷も鳴るほどの大雨が降りはじめた。 初夏らしいアクシデントだ。気分がいい僕はこの雷雨ですら楽しめた。雨の匂いも悪くない。 しばらく雨宿りしていると10分程で雨は小雨になった。僕は今のうちだと思い、小走りで目的地へと向かった。 そして、ようやくNui.に辿り着いた。僕は迷わずホットコーヒーをオーダー。少し冷えた体にホットコーヒーはかなり染みた。

豆はルワンダ。フローラルな感じとナッツのような香ばしさが感じられ、バランスがとれたコーヒーだった。 僕はアップルパイとのペアリングで楽しんだ。 ウマイ。 コンセプト通り、店内は多様な人で賑わっていた。イケてる場所にはイケてる人が集まる、この法則は本気だ。 僕も大人に混ざりながら、ここで少し作業することにした。 映画を丸々一本観れるくらい滞在し、僕はまた蔵前を放浪しはじめた。

しばらく歩くと道端に蓮に似た植物を見つけた。雨上がりで太陽光をもろに浴びている状態。もしかしたらこの瞬間が植物にとって、1番美しい状態なのかもしれない。 今日はよく植物に目がいくようだ。僕はまだ心のゆとりがあるみたい。少しだけ大人になれた気がした。 さて、もうそろそろ良い時間だ。 最後はととのって終わりにしよう。

八分目がちょうどいい

zと思ったが、お目当ての銭湯が休業中だった。なんとも放浪記らしい結末。 丸一日放浪して僕は思った。臭い表現になるが、まるでこの旅は人生のようだ。行き当たりばったりで、時に雨だって降る。それでも前を向いて、歩き出すことが大事なのだ。 僕は放浪して多くの教訓を得た。 あぁ、ととのって終わりたかったな。腹八分目の気分だ。でも、名残り惜しいぐらいがちょうどいい。また蔵前に来よう。 A cup of KOHII with Love (執筆・撮影:Seiya)

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