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本物のモカを通して日本とイエメンの架け橋となる

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本物のモカを通して日本とイエメンの架け橋となる

一杯のコーヒーが私たちのもとへ届くまでには、バリスタやロースターに限らずコーヒー業界の様々な立場の人が関わっています。今回はイエメンのスペシャルティコーヒーを日本に伝えるインポーター、Mocha Originsのタレック(Tareq)さんを紹介します。イエメン人のタレックさんが、日本でコーヒーの輸入会社を立ち上げるまでのリアルなストーリーとイエメンのコーヒーの魅力を、ユーザーのみなさんにお届けします K:KOHII、T:タレックさん

私のルーツ、コーヒーインポーターになるまで

K:Mocha Originsを立ち上げようとしたきっかけはなんですか? T:まずは来日するようになったきっかけから話します。子供の頃は母国であるイエメンに住んでいました。実はその頃から名探偵コナンのような日本のアニメーションを見ていて、日本の文化が本当に面白く、いつか行きたいという憧れがありました。また、イエメンには自動車や半導体産業関連の日本の企業も多く進出しているので、その高い技術力を学びたいと思いました。

実際に日本の大学へ入学し国際経営学を学び始めた頃から、イエメンと日本の文化や経済をつなぐ架け橋になりたいと考え、自ら事業を立ち上げると決めました。事業アイデアを探しリサーチを進める中で、日本は喫茶店のように独自のコーヒー文化があるほどコーヒーが人々の身近にあり、そのコーヒーがイエメンの特産品であるという関連性を見つけました。それからコーヒーを通して、アラビアを代表するイエメンの本物のモカに触れ、イエメンのことを知る機会を作りたいと思いました。

K:はじめてスペシャルティコーヒーに出会ったときの経験を教えてください。 T:スペシャルティコーヒーに出会ったのは日本で大学生活をしている最中の2017年でした。いざコーヒーの事業を始めると決めたものの、周りでイエメンのコーヒーを見かけることさえできませんでした。とりあえず大分のロースターさんに伺い、なぜイエメンのコーヒーがないのか聞き回りました。先方からすれば唐突な質問だなと思われてもおかしくないなと思いますが、それぐらい当時は、コーヒーの事業をしたいという想いだけで、コーヒーのことは全く無知でした。例えば、スペシャルティコーヒーは、欠点豆が少ないという業界では当たり前な知識も、ロースターさんの話を聞きはじめて知りました。何度も繰り返し色んなロースターさんを訪問し、イエメンのコーヒーをスペシャルティコーヒーにするための方法を少しずつ学んでいきました。

いざ、はじめてのコーヒー輸入

K:日本に来てから困ったこと、苦労されたことなどありますか? T:一から日本語を勉強することも大変でしたが、それ以上に銀行やビザなど複雑な手続きを行うことが難しかったです。特にイエメンが内戦中という国際情勢もあり、セキュリティの問題上、外貨を送金するだけの、本来ならば当たり前にできるはずの手続きを行うことも困難でした。しかし、Mocha Originsを立ち上げるまでに、多くのロースターさんに助けられました。

最初は、まずどのようにしてイエメンの豆を販売できるか、ロースターさんと相談しました。そして、まずは少量でもイエメンの豆を日本にもってきて、販売することにしました。しかし、最初はどうしてもコストを抑えられず、1kgの豆が1万円くらいしたんです。 K:1kgの生豆が1万円 ! それは高価ですね。 T:そうです。1年目はなんとかイエメンの豆を販売したかったので、18t入るコンテナに700kgの生豆を輸入しました。数字が大きいから想像することが難しいと思いますが、コンテナの10分の1にも至らない量なんです。スペシャルティコーヒーではあるものの、結果的にクオリティと値段が全く合わない価格設定になってしまいました。それから毎年、継続してコーヒー豆を輸入し販売することでイエメンのコーヒーを好むファンも増え、少しずつですが輸入量も増やせています。輸入量が増えることで、クオリティに対して妥当な価格設定ができるようになりました。

K:イエメンのコーヒーの魅力はなんですか? T:イエメンのコーヒーは、エチオピアのコーヒーと類似点が多いです。エチオピアの小規模農園で育つ無数の原生種(Heirloom)が精製所で集められるように、イエメンでも山岳地帯の厳しい自然環境に耐えたイエメンの原生種が精製所で集められます。イエメンのコーヒーの特徴として、ジューシーさの先に、香辛料のような複雑な味もあり、とても幻惑されます。そして、同じ村でも環境が異なるため、農家さんによっても味が変わるんです。現状はその繊細さや味の特徴をを細分化できていないのですが、だからこそ、イエメンコーヒーの今後の可能性を感じます。

イエメンのコーヒーは、日本を超えて、世界へ

K:インポーターの立場から改善したいコーヒー業界の課題は何かありますか? T:コーヒー農家さんは、育てた豆が販売されるかどうかが未知数な状況の中で、毎年コーヒーを生産しています。しかし、コーヒーは農作物なので、品質の不確実性には自然環境といったやむを得ない理由もあります。 コーヒーショップのコーヒーの評価は主にカッピングを通して行われますが、カッピングだけでは把握し切れないポテンシャルが多くあります。とてももったいないんです。ですので弊社では、サンプルを送る際に、カッピング用とハンドドリップ用で2つのサンプルを送っています。実際、ドリップをすることで見えてくるコーヒーのポテンシャルにも気づいてほしいと思います。

K:最後にユーザーの皆さんに、何か一言はありますか? T:日本で外国人が起業をすることは、とても難しいです。必ず日本語という言語の壁にぶつかり、日本のルールや複雑な手続きに慣れる必要があります。 しかし、協力してくれる優しい方も多くいるので、今のMocha Originsがあると思います。これから5年、10年先は、イエメンのコーヒー、そしてイエメンの文化を、日本、そしてアジアの多くの方に伝えていきたいと思っています。もしもイエメンの豆を見かけたときはぜひ飲んでみてください。これからもよろしくお願いします。

A cup of KOHII with Love (執筆:Jongmin)

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