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若さの感性で、インディコーヒーカルチャーを創る

Meets

若さの感性で、インディコーヒーカルチャーを創る

さまざまなジャンルで活躍されているクリエイターさんたちは、普段どのようにコーヒーライフを楽しんでいるのでしょうか。KOHII meets Creativesは、業界をリードする人たちやチャレンジし続ける人たちについてコーヒーを淹れながら、飲みながら深掘りしていく企画です。

本日のゲスト

薮内颯人(やぶうちはやと) C-Origin Founder、ロースター H=薮内颯人さん、K=KOHII

私と颯人さんの出会いは2018年の札幌まで遡ります。当時、まだお互い高校生だった私たちは、細く「の」の字を書きながら、コーヒーを淹れることに夢中でした。サントスNO.2、モカ、キリマンジャロなど名称は馴染みのないカタカナばかりで覚えづらかったけど、当時は海の向こう側から渡ってきた様々なコーヒーを味わうことがとにかく楽しくてたまらなかったです。勉強や部活動よりも、コーヒーが楽しかった年頃でした。 それから数ヶ月経て、颯人さんは海の向こうにある東ティモールに渡りました。

赤いチェリーに魅せられ、コーヒー生産の現場へ

K:コーヒー生産国に目を向けたきっかけはありますか? H:私が14歳くらいの時からコーヒーの師匠と勝手に呼ばせていただいている徳光珈琲の社長から、「絶対に頭でっかちになっちゃいけないよ」と言われていたんです。コーヒーについて徳光社長から色々と教わっていた時に、社長が自ら訪れ撮影したコーヒー生産地での動画をよく見せてもらっていました。その異国の雰囲気に圧倒される一方で、産地に広がる壮大な自然風景や目の前でコーヒーの木が育っている様子など、動画だけではその感動が伝わらないんだろうなというもどかしさが自分の中にずっとありました。私は若い時にしかない感受性というものを信じています。そのため、なるべく早く産地にいきたいと思っていました。

K:様々な産地がある中で、なぜ東ティモールに行かれたんですか? H:人との縁ですね。中学1年生の時に市の子どもの夢を応援する事業に、私がバリスタになりたいという夢を書いて応募したら、代表生に選出してくださり市役所の方が徳光社長を紹介してくれました。中学生ながら、コーヒー業界の最前線で働く方にマンツーマンでレッスンを受けるという贅沢をして、それからお店にも通うようになったんです。 K:すごい。中学生のときに出会ったんですね。 H:はい。高校生になってからも面倒をみて頂いて、勝手に師匠と仰がせてもらっています。そういった経緯で、コーヒー生産地への留学したい想いが溢れ出し「コーヒー生産国に行きたいけど、どこかおすすめはありますか?」と徳光社長に尋ねると、東ティモールをおすすめしてくれたんです。実際にお店が取引しているような質の良いコーヒー生産している農園があり、場所がアジアであるため日本からも遠すぎないという理由です。

K:東ティモールでは、どんな仕事をしたんですか? H:私がインターンをしていた会社は、東ティモールのコーヒー生産者と海外輸出までの過程を中継ぎする仕事をしていました。ですので現地では、農村部と都市部の2箇所を往来しながら、活動しました。 都市部の方では、日本のロースタリーの仕事と似ていると思いますが、生豆のハンドピックからはじめ、サンプルロースターを使用し、焙煎をしました。焙煎機も自由に使えたので、現地のスタッフの方に教えてもらいながら、多い日には1日に十数回、焙煎をしました。農村部では、コーヒー豆の買い付けに同行されてもらったり、収穫後の脱穀や乾燥などの一次加工を一緒に行いました。

K:東ティモールで、印象に残っているエピソードはありますか? H:買い付け中の農園から別の農園に行くまでの移動時間、同い年くらいの現地のスタッフから東ティモールの歴史について聞く機会がありました。東ティモールはここ20年くらいの間にも、植民地時代や独立戦争を経て今に至るというリアルな声を聞けて、私たちはさまざまな歴史の積み重ねの上でコーヒーという飲み物、文化を享受しているのだなと改めて感じた瞬間でした。

K:帰国後、コーヒーに関する価値観が大きく変わった部分はありますか? H:今まではコーヒーそのものが好きだったというよりは、コーヒーを取り巻く雰囲気や文化が好きでした。しかし東ティモールでたくさんの友人ができ、今、自分が飲んでいるコーヒーは友人がつくったものという体験をすると、コーヒーそのものを愛でるようになりました。

また、コーヒーを取り巻く産業はSDGsを筆頭にサスティナビリティと必然的に関連付けられます。その中で、以前徳光社長が語られたように頭でっかちにならず、自ら行動をすることの重要性にも気づきました。例えば現地での実情を見たことにより、SDGsに囚われすぎず、あくまで物差しであると考えながら眼差しは常に当事者へ向けるべきだと強く思いました。 振り返ると私は留学するまで勝手に、貧しい人は不幸だと決めつけていたところがあったかもしれません。ただ、東ティモールで出会った友達はみんな自分と同じくらい、もしくは自分たちよりも笑顔が多くて幸せそうな人もたくさんいました。未来を憂うより、今この瞬間を楽しむこと、巨大な憂鬱に支配されるのではなく、自分の手が届く場所にある理不尽に頭を悩ませたり、希望に瞳を輝かせたりしていたいと思うようになりました。

ユースカルチャーの発信拠点を創る

K:C-originはどんな活動をしているんですか? H:C-originのはYouth Brand for “C"をコンセプトに掲げ活動するブランドです。コーヒやカルチャー、安らいだひとときを起点(Origin)に新たな価値観や潮流を作り出し、またそれらに共鳴する同世代が交われる流動的なコミュニティを創出すべく活動しています。現在はPop-upとしてのカフェ営業やイベントでの出店をメインに活動しています。焙煎はGIESENのロースターを札幌市内にある、お世話になっているカフェからお借りし、私自身が焙煎しています。

K:C-originを始めたきっかけはなんですか? H:帰国してから、コーヒーシーンの中で自分にできること、好きな事、したいこと、コーヒー以外で自分が愛してやまないことごと、いろんなものを眺めなおしました。その中で、10代でコーヒー生産地で収穫から出港までの行程を実際に体験した人物は全然いないということに改めて気がつきました。 私が貴重な経験を得られたのは縁や機会に恵まれたことが大きいです。だからこそ自分の経験を感謝還元の意味でも表現したいと思いました。それまでは、ただのコーヒーオタクでしかなかった私が何かをしても、周囲に埋没してしまうし、コーヒーラヴァーな皆さんの情報や選択肢のノイズにしかなれないのではないかと思い、一歩目が踏み出せませんでした。

留学を経て、コーヒーシーンのなか様々な形で活躍する大人の方々と出会ってようやく、自信を持って自分のプロダクトを始められました。繰り返しになりますが、若い感受性だからこそ、語れる言葉や体験があると思っています。また私は、大好きなコーヒーを深く知りたいという気持ちを通して社会や環境の問題に目を向けるようになりました。そのような体験が同世代にも波及すればいいなという願いもあります。

K:コーヒー業界の中で、インディーズとして活動することの魅力はなんですか? H:小さな対象に対してアプローチをかけることができるのが最大の強みだと感じています。チェーン展開しているコーヒーショップにはどこにいても同じような安らぎを提供する魅力があるのだとしたら、私たちインディーズの魅力、強みは”今、ここ”でしか味わえない感覚を提供できることだと思います。クラフト感の手触り溢れる空間で、インディペンデントなカルチャーを発信できますし、何よりさまざまな面においてとても身軽です。”ここにしかない、どこか”を演出して作り上げられることが魅力で、かつ1番難しく、面白いところだと思います。

K:今後、どのように活動していきたいですか? H:私が観測する限り、ここ数年で間借り営業のカフェが増えていたり、Instagramを通してカフェ巡りの文化が新しい形に変容していたりするように感じます。またそれらの場にいるのは、私と同じくらいの年代のように見えます。ですから、同世代との横のつながりも生まれて、みんなでコーヒーカルチャ盛り上げていけるのではないかと今は希望を持って未来を見ています。 また、コーヒーは昔から心落ち着く時間やひらめきを得る空間を提供する役割を果たして来ました。C-originとしても、誰かにとってのある種の救いの場、楽しめる場を提供し続けたいです。若い世代がコーヒーを介してカルチャーや新たな価値観、驚きに触れ、安らぎを得る場所をつくっていきたいです。

薮内颯人

北海道・北広島市出身。小学時よりコーヒーとそれに付属するカルチャーに興味を持ち、中学時に徳光珈琲にて師事を受ける。2019年の夏、文部科学省が展開する留学制度を利用し3ヶ月間、東ティモールにてコーヒーの生産や加工についてインターンシップに参加し学ぶ。2020年の夏にYouth Brand for "C"を掲げ「C-origin」というブランドを立ち上げる。ポップカルチャーへの愛好心と造詣も深く、コーヒーやカフェとポップカルチャーの体系を10代らしいフレッシュな眼差しで交差させ独自の文脈を浮かび上がらせる。

<KOHII Team>

A cup of KOHII with Love (執筆・編集:Jongmin)

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