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コーヒーの精製方法の違い(ナチュラル・ウォッシュド・パルプドナチュラル/ハニー)

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コーヒーの精製方法の違い(ナチュラル・ウォッシュド・パルプドナチュラル/ハニー)

コーヒーの精製とは?

コーヒー豆は、収穫されてから私たちの手元に届くまで、とても長いプロセスを経ています。そのプロセスの1つが「精製」です。コーヒー豆は最初、赤く熟したコーヒーの実(コーヒーチェリー)として収穫され、その実から種子を取り出す作業のことを「精製」といいます。この種子は「生豆」と呼ばれ、薄緑色をしています。さらに「焙煎」という作業を通して、私たちがよく知っている茶褐色・黒褐色のコーヒー豆へと変わっていくのです。 この精製というプロセスは、コーヒーの風味や口当たりに様々な点から影響し、その精製方法も実に多様です。今回は代表的な精製方法である、ナチュラル・ウォッシュド・ハニープロセスの3種類の方法を見ていきましょう!

各精製方法の違い

ナチュラル(非水洗式)

まずは、ナチュラル(非水洗式)と呼ばれる精製方法。これは、最も伝統的な精製方法と言われています。収穫したコーヒーチェリーをそのまま天日干しで乾燥、その後、機械や人の手により実ごと脱穀され生豆となり、選別を経て出荷されます。 イエメンやエチオピアといった、水の確保が難しいとされる国々で発達したとされており、乾燥地域や水が確保しづらいような地域でよく見られる精製方法です。しかし、乾燥の段階で腐りやすい果肉がついたままであり、自然条件にも影響されやすく、品質維持の難しい方法とされています。近年は乾燥の技術や道具も発達してきており、非常にクリーンで甘さが引き立つナチュラルも増えました。環境に優しくコストも抑えられるメリットも大きいですね。

ウォッシュド(水洗式)

続いて、ウォッシュド(水洗式)と呼ばれる方法。これは文字通り、大量の水を使って不要物を洗い流す精製方法です。手順が多いため、数字をつけて説明します。 1.不純物除去:収穫されたコーヒーチェリーを貯水槽に入れ、枝などの不純物を取り除きます。 2.果肉除去:パルパー(果肉除去機)と呼ばれる機械で、果肉と外果皮を取り除き、内果皮(パーチメント)とその周りの粘液質(ミューシレージ)だけが残った状態にします。 3.粘液質除去:発酵槽と呼ばれる水槽で、半日〜2日ほどかけて粘液質を分解し、さらに水洗いをして完全に取り除きます。 4.乾燥:ここでようやく天日干し、あるいは機械で乾燥させます。ここからはナチュラルとほぼ同じ工程です。この段階で、コーヒー豆は内果皮が残った状態になります。 5.脱穀:内果皮が取り除かれ、生豆の出来上がりです。そして、異物除去や選別を経て、出荷という流れになります。 ナチュラルと対照的に、水が豊富で膨大な設備投資もできる国々(ケニア・コロンビアなど)で盛んな方法です。品質の高い粒揃いの豆が特徴的で、安定した生産が可能、私たちが普段よく飲むコーヒーもこの方法によるものが多いと言われています。

パルプドナチュラル/ハニー

今回最後は、パルプドナチュラルという方法。ハニーとも呼ばれます。この精製方法は今紹介したウォッシュドとほとんど同じなのですが、3番目の工程「粘液質除去」の部分が飛ばされ、「不純物除去→果肉除去→乾燥→脱穀」という流れになります。つまり、粘液質が豆に付いたまま乾燥するということです。 この方法はよく、「ナチュラルとウォッシュドのいいとこ取り」と言われ、ナチュラルよりも高品質で欠点豆が少なく、ウォッシュドよりも節水で時間短縮にもなります。コスタリカやブラジルといった国々で盛んに行われています。 ちなみに、コスタリカでは「ミューシレージ(粘液質)」のことを「ミエル」と呼ぶのですが、同国の公用語であるスペイン語で「ハニー(蜂蜜)」を「ミエル(miel)」と言うことから、この方法で作られるコーヒーを「ハニーコーヒー」と言うようです。

風味や香りはどう違う?

ここまで精製方法の具体的な違いを見てきましたが、やはり気になるのは、この違いは味や香りにどう影響するの?というところですよね。個人の感じ方・豆の種類による差はもちろんありますが、一般的によく知られる違いについて比較してみましょう。

ナチュラル

スペシャリティコーヒーでよく聞く「果物のような香り・風味」といった、フルーティーさが如実に表れるのがこのナチュラルの特徴です。具体的には、ブルーベリーやトロピカルフルーツのような風味。これは、収穫後に果肉がついたままの状態で乾燥することで、他の方法に比べて果肉の成分や風味の影響を長く受け続けるからだとされています。酸味が苦手な人や、強い香り・甘さを求めたい人にオススメのコーヒーと言えるでしょう。

ウォッシュド

ナチュラルとは真逆のような方法であるので、やはりその風味も真逆なものに。味はスッキリとしたクリアさを帯び、酸味も強く、豆そのものの特徴が明確に表れるのです。収穫してすぐに果肉を除去してしまうため、果肉の影響はとても小さく、フルーティーさや甘さはあまりありません。苦味や酸味、豆そのものの風味を楽しみたい人にオススメのコーヒーではないでしょうか。

パルプドナチュラル/ハニー

先ほど挙げたように、粘液質を取らずに乾燥させるというウォッシュドとの違いが風味にも表れ、ウォッシュドに比べて独特の甘味が残り、酸味も控えめに。一方で鮮明なフルーティーさがあるわけでもなく、精製方法と同じように、風味も上2つの中間的なものになるようです。甘味や苦味にとりわけ好みがないという方は、ここから試してみるのもありかもしれませんね。

精製方法でコーヒーの世界を広げよう

今回紹介した3つの精製方法の他に地域特有や、実験的に行われている精製が多く存在しています。特に最近では嫌気性発酵(アナエロビックファーメンテーションやカーボニックマセレーション)や酵母発酵などがトレンドとして増えており、世界大会の場やオークションでも高値を記録していることでスペシャルティコーヒーショップでも取り扱いが珍しくなくなりました。(またこれら新しい精製方法についてもお話ししますね。) これら発酵系は精製は本来ならば感じることができなかった複雑味のある味わいから注目されています。ただ、どれが一番「美味しい」かは人それぞれの嗜好です。むやみに嫌気性発酵をしてコーヒーの本来の味わいやバランスが損なわれてはもとも子もありません。毎日飲むコーヒーとして、あるいは今日は新たな変化のある発見が欲しい気分の時も、同じコーヒー果実から精製方法が違えば全く異なる顔になります。 農家の方々やロースターもそのような新しい発見を想像しながらそのコーヒーに適切な精製方法を選んでいます。次回コーヒーを飲むときは精製方法に注目してみてコーヒーの世界をさらに広げてみてください。

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