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クオリティ・オブ・ライフの定義を問う

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クオリティ・オブ・ライフの定義を問う

KOHII x City は、コーヒーを愛するKOHIIコミュニティメンバーが、世界の色々な街角からスペシャルティコーヒーにまつわる色々を綴るシリーズ。コーヒー片手にストーリーにダイブして、私たちと一緒に旅に出かけましょう!

幸せの街に、コーヒーを:より美味しいコーヒーを求める旅が、もう一つの居場所と人生のリズムを整える

City: Shanghai

国際的な金融ハブ、セレブが集まる社交界ー世界最大規模の都市として、華やかに成長を続ける上海。世界の今を敏感に感じ取る上海では、スペシャルティーコーヒーシーンが熱い注目を浴びています。けれど、煌びやかなトレンドセッターとしての顔を持つ上海っ子たちが本当に求めるものは、これまでとは一味違う様子。本当に自分を幸せにしてくれるものとは?心満たされる豊かさって?そんな疑問への答えは、街角のコーヒーショップで見つかるかもしれません。 KOHIIのコンテンツキュレーターであるRikaさんが、コーヒーを通して見つめた上海の日常を教えてくれました。

Chapter 3

近年では、中国セレブのお気に入りの社交場としてだけでなく世界の上流社交界として機能する上海だが、その現代的で洗練された文化の繁栄がもてはやされるほどに、巧妙に切り取られ、いびつに誇張された煌びやかな姿には当てはまらないものに多くの地元っ子たちが捌け口を求めるようになった。透明性、互いに信頼する心、そして誠実さを何よりも大切にするスペシャルティコーヒー文化は、これまでの常識や価値観を少しずつ変え始めている。何が私たちの生活を豊かにし、心を満たしてくれるのかー他人が定義する「成功」ではなく、自分を幸せにするものを追い求めるのはごく限られた幸運な人だけができる贅沢だ。けれどコーヒーを愛することで、大きなリスクを負わずとも、これまで背負ってきた思い込みから少し離れて一息つく時間が手に入るのだ。 上海でスペシャルティ産業を立ち上げたクリエイター、教育者、そしてストーリーテラーたちは、人々の意識と努力の方向を実にエレガントに誘導したーこの世界で求められるのは本物志向、独自性、質の重視、そしてサステナビリティ。コーヒーショップの店構えはより立ち寄りやすくなり、店内には壁一面に地元の若手アーティストたちの作品が飾られている。メニューは分かりやすく工夫に富んでいて目にも楽しく、本棚にはコーヒーを楽しみながら自由に手に取れる雑誌などが並び知的好奇心を満たす。ビジネスが社会的責任を果たす一員であるという意識がより浸透するにつれ、ショップオーナーたちはマイカップを店に並べ、資源を再利用する。そんな空間に足を踏み入れるということは、コーヒーという媒体を通して、世界と交流する幸運を意味する。コーヒーショップは、共同体や居場所を持つことの大切さや、一度急ぎ足をやめてみる事を訪れる人々に教え、成功への道は日々の小さな積み重ねで作られるということを穏やかに知らせてくれる場所だ。

情熱を再発見しよう

「どうでも良い事のために必死に働くのはストレスだ。しかし、愛する物のために骨身を惜しまず働くのは、情熱だ。」サイモン・シネックの言葉は核心をついている!コーヒーカウンターで嬉しそうに働くバリスタたちを見かけるたび、この言葉を思い出す。この間、友人のリンリンとおしゃべりしていた時ー彼女とは中国マーケットにシングルオリジンを紹介し、国内スペシャルティコーヒー業界の第一人者である上海企業、Seesaw Coffeeの人事部で共に働いていた仲だー、彼女は、「コーヒー業界で働く人々はそのほかの産業と比べるとより強い職業倫理を持ち、挑戦やリスクを恐れず、学ぶことに対してより意欲的だ」と話していた。この傾向でさらに面白いのが、著名なバリスタやコーヒー実業家たちのほとんどが、大学などでコーヒーの勉強をしたわけではなく、コーヒーを仕事にする前は全く関係ないキャリアを積んできた人ばかりだということだ。中国でもっとも権威あるビジネス街である上海では、実用的で資本主義的、そして何よりも現実的なビジネス文化が重用される。しかしコーヒーコミュニティでは、エネルギーや情熱、そして勤勉が存分に報われ花開くーここでは皆が夢を見られるのだ。

上海で5年間暮らすうちに、週末のお散歩が次第にコーヒーショップ巡りへと変わっていった。ファッションブティックや美味しいレストランを探し歩くのとはまた違う楽しみ方。自分だけのコーヒーマップを作る時、喜びはあらゆる方向からやってきて、街のリアルな姿があらわれ、感覚や感情の全てがいっぱいに動きはじめるのを感じる。私の居場所はもはやただ住んでいる場所、ではなく、私を幸せにしてくれるものとどう積極的に、継続的に関わっているか、という視点で定義されるようになった。コーヒーショップは、文化の交わり、新しいアイデア、人生の知恵や質の高い時間を祝福する喜びに満ちている。焙煎士がコーヒーと向き合い書き付けるメモは、一杯の美味しい液体がカップに注がれるリズムと混ざり合い、現代の詩となって響くのだ。 「Coffee connects people — この記事は、私のお気に入りFuglen Tokyoとのカフェインに満ちた関係から生まれました。2020年のパンデミックが引き起こした混沌のなか刊行される春号の一部であるこのストーリーは、オーストラリアのメルボルンから始まり、上海のコーヒーコミュニティとの再会へと成長し、数々の新しい対話と出会いを生んだ、個人的な旅の始まりを記録したものです。」 この記事は、Standart 18号掲載版を基に再編集・翻訳したものです。 A cup of KOHII with love (Special thanks to Aya Tanaka❤️)

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