KOHII
Vol.23 どうにもならなくても、いい。

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Vol.23 どうにもならなくても、いい。

ちょっとコーヒー巡りをしませんか?行き交う人々、流れていく時間を見て感じながら、飲むコーヒーが絶妙に美味しいと思う私たちは、いつもコーヒーで繋がる街を歩くKOHII Walkersです。気の向くまま、コーヒーのアロマに溢れる街、それぞれコーヒーを楽しむ人々との出会いを独自の目線で写真ストーリーに記録し、ここでシェアします。 こうして同じ写真でコーヒー、ヒト、マチの関連性を描く人と繋がりたい、日本各地のKOHII仲間と一緒にコーヒーの魅力を広げていきたいです。 Ikumi, KOHII Walkers@Osaka あぁ、来た...わかる、私にはわかる... いつも不意に来るあの波が来てる。

先日、ある映画を観た。内容はというと、罪を犯した人間が保護司による助けを受けながら、人生を更生していく過程を描いたものだった。これだけの説明だと主人公が無事に更生できて「はい、ハッピーエンド」で終わることが想像つきそうだが、そう簡単にまとめられる映画ではなかった。作中に描かれているもの全てに人間味が溢れていた。 自分の感情や衝動に支配され思うようにいかず苦しむ人間、過去の出来事が原因で完全にコントロールが出来なくなってしまった人間。作中では罪を犯した人間の物語がメインだが、我々の人生にも同じ、あるいは似た物語があるように感じた。 そしてそんな彼らにもまた我々と同じように穏やかに過ごす瞬間があって、誰かと笑う瞬間があるのだ。

少し前の休日、私はコーヒーを飲みに行こうと思っていた日があった。けれどその前日、考え事をしていると途端に気分が下がってしまったのだ。あぁ、また来たか…と思った。いつも不意にくる、暗い闇に覆われていくようなあの感じ。 対処法としてすぐに眠りについたものの、朝起きても気分は変わらずベッドから出たくなかった。普段の私ならこういう場合、予定なんか変更してそのまま寝るはずなのに、なぜかその日はそんな意に反して外へ出た。 外の空気と陽光というのは素晴らしいもので、床を這うような気分だったものを立ち上がらせるところまでは自然と持っていってくれる。しかしそれでもまだ気鬱な私はただ目的地にたどり着く為だけに、とにかく足を前へ前へ動かしていた。

@aoma coffee

昔、と言ってもそう遠くはない冬の季節に、当時好きだった人とここへコーヒーを飲みに来たことがある。まだどのブラックコーヒーも苦くて飲めなかった頃だ。ラテを飲む私の横でブラックコーヒーを味わう彼が知識人のようでかっこよく見えた反面、あぁ、これも過去の出来事になるのだなと、その時から既に過去を見ているようで切なかったことを覚えている。 苦かったブラックコーヒーも美味しく味わえるようになった今、aoma coffeeさんへ来る度にあの頃のラテを飲んでいた私の残像が見える。

私が飲んだシーズナルブレンドのヲリヲリは、芭蕉の句にある「雲をりをり人を休める月見かな」という部分からとったそう。句から名前をとるなんてなんと私好みな...!

実は昨年末、ここの豆を年末年始に家で飲む用に購入した。私の中でaoma coffeeさんはゆっくりしたい時に飲みたくなるようだ。気持ちが整うというかなんというか... 言葉を必要としないお気に入りの場所だ。

オフィス街である本町を足早に歩く人々に追い越されながら、私は谷町方面へと足を進ませた。

@ROASTERS COFFEE

マフラーさえあれば厚着をしなくても大丈夫だと信じている私は、毎年冷たい風に凍えながら外に繰り出している。これが学ばない人間ってやつだ。ダウンジャケットが暖かいのはもちろん知っているけれど、どうも着心地が苦手なもので… そしてこの日もマフラーだけはしっかりと巻いて、本町から谷町へまたもや凍えながら着いた場所はROASTERS COFFEEさん。中深煎りのコロンビアはきなこや麦を感じる和テイストな印象。すっかり下がり切った体温をじわじわと取り戻してくれた。

数年前にお店の方と一度お会いしたことがきっかけでこのお店を知った。しかし訪問するのは今回が初めて、それに数年前に一度会っただけの自分のことを覚えていただいているものだろうか。「話しかけてみようか...いや、でもこの空間で微妙な空気になったらどうしよう......あぁ...どうしよう、ムリだ。」 こういう時に限って現れる意気地無しな自分が邪魔をして最終的に私がした決断は、諦める、だった。別日に来ていたら、もしかすると話しかけられたかもしれない。ただこの日の私には無理だった。

「ごちそうさまです」とだけ伝え、自分はなんて失礼なやつなんだ...と自己嫌悪に陥るも後の祭り、あっという間に帰路につきベッドインしてしまった。

この日は今振り返っても、暗い1日だったなぁと落ち込む。別に私にとっちゃこんな日、珍しくないのに。 気分が上がらない日はそんな自分を否定してどうにかもがいてみるが、果たしてそれは必要な作業なのだろうか。 そりゃ365日毎日目を覚まして過ごしていれば、こんな日もあるのが当然だ。ハッピーエンドで終わらない日があったっていい。とか何とか言って無理矢理肯定することが今の私に出来る精一杯のことらしい。 いや、でもそれでいい。それで十分だ。 何かを抱えながらも楽しいと笑える瞬間は必ず来る。これまでもそうであったように! 1人で過ごす時間くらい、どうにもならない自分の感情を許してあげられる自分になりたいなと思う1日であった。

<About Ikumi>

大阪在住。コーヒーとは無縁だったが、2020年初春、エチオピアの味に感動しコーヒーに興味を持つ。趣味はアート制作、映画鑑賞、食べること。アート制作は主に抽象画を描いていて、自分の中で残したい感情が湧き上がったときに描いている。

<今日のKOHIIコース>

@aoma coffee 大阪府大阪市中央区久太郎町3丁目4-2

@ROASTERS COFFEE 大阪府大阪市谷町六丁目18-27

A cup of KOHII with Love (執筆・編集:Ikumi)

コメント

Ikumi
Ikumi re: せいや ありがとうございます!
ako
ako なんかとても共感できました︎☺︎いろんな日があっていいと思います🙆‍♀️
Ikumi
Ikumi re: ako とても嬉しいお言葉です。ありがとうございます✨