KOHII
Vol. 19 小さい頃の私、それは聞き流しちゃダメだ

Journal

Vol. 19 小さい頃の私、それは聞き流しちゃダメだ

ちょっとコーヒー巡りをしませんか?行き交う人々、流れていく時間を見て感じながら、飲むコーヒーが絶妙に美味しいと思う私たちは、いつもコーヒーで繋がる街を歩くKOHII Walkersです。気の向くまま、コーヒーのアロマに溢れる街、それぞれコーヒーを楽しむ人々との出会いを独自の目線で写真ストーリーに記録し、ここでシェアします。 こうして同じ写真でコーヒー、ヒト、マチの関連性を描く人と繋がりたい、日本各地のKOHII仲間と一緒にコーヒーの魅力を広げていきたいです。 Ikumi, KOHII Walkers@Osaka

私は現在コーヒー屋で働いているので、生豆が茶色いコーヒー豆に、茶色いコーヒー豆がコーヒーになる瞬間を見たことがある。 また、ショーケースに並ぶお菓子たちを、1から作っている工程も見たことがある。それも何度も。 これは決して自慢しているわけではない。 つまり何が言いたいかというと、完成形の前に人の手が加わる瞬間を日々直で見ているのだ。 コーヒーやお菓子は自動的に作られるものでもなく、魔法のようにポンッと出てくるものでもない。作る人がいるから完成している。 「いやいや、そんなこと知ってるよ。当たり前じゃん?」という声が聞こえてきそうなのだが、実際に私たちはそのことを重要視できているのだろうか。当たり前の裏に問題はないだろうか。

小さい頃、晩ご飯を少し残してごちそうさまを言うと、親に注意されたことを思い出した。作ってくれた人に感謝しなさいと言われたが、その頃の私はさっき書いたように、「はいはい、そんなことわかってるよー。」と、聞き流していたことを覚えている。

@YARD Coffee & Craft Chocolate

木からいちょうの葉が散り、地面が黄色に染まる12月の頭ごろ、街中は途端にキラキラと雰囲気を変えていった。 「もうクリスマスか〜。」 「今年ももう終わりですね。」 と、あちらこちらで会話が始まるのが聞こえる。 コーヒーとチョコレートの組み合わせが似合う季節になったのでせっかくならと、カカオ豆からチョコレートを作っているYARD Coffeeさんに行くことにした。

コーヒーは浅煎りが多く、ペアリングを考えられたお菓子たちも、美味しそうなものばかり。 悩んだ末に、私はエクアドルのコーヒーと、チョコレート菓子にはクレーム・オ・ショコラを選んだ。 大阪、天王寺にいることを忘れるような自然に囲まれた店内で、丁寧にコーヒーを淹れるバリスタの姿には優美さがある。 カカオ豆からどんな工程を踏んで作っているのだろうと、店内の奥にある工房のことを考えながら一口目を食べた。 「お、美味しい、、!」 シンプルな見た目からは想像つかない、カカオの濃厚さとなめらかな食感に、噛もうとする口の動きが止まる。 そしてさらに、エクアドルの軽やかなフルーティーさとカカオが相まって、口の中ではまた新しい味が出来上がった。

食べた直後、とっさに感謝の気持ちが溢れてきた。異国の地から遠路はるばるやって来たコーヒー豆とカカオ豆が、こんなにも美味しいものへと姿を変えて、私を幸せな気分にしてくれたことに。 作ってくれた方々それぞれの思いが、そのまま口へ運ばれてきたかのよう。

スタッフの方が教えてくれたクリスマスシーズン限定の、カカオを使用して作ったシュトーレンを土産に購入した。 クリスマス当日に向けて食べるのが楽しみだ。

@Brooklyn Roasting Company

天王寺から難波までは徒歩で移動した。 いつもならば電車ですっ飛ばしている街を歩くのは新鮮で、運の良いことに自然がとっても美しい場所も発見できた。ついでに行きたかった店で牡蠣丼も食べたし、この日は良い気分続き。

2杯目のコーヒーに選んだ店は、Brooklyn Roasting Company。略してBRC、またはブルックリンと呼んでいる。 見慣れた広い店内に、見慣れたスタッフの姿。 普段私は、ここで働いているのだ。 焙煎している時に弾ける大量の豆の音や店の真上を走る電車の音、そして、店を出入りする人々の流れにいつも活力をもらっている。

この日はメキシコの調子が良いということで、迷わずメキシコを選び、アメリカーノを淹れてもらった。 口にするものの中で、初めてウッディなテイストを感じたのがメキシコのコーヒーだった。香り高くて甘みもちゃんとあって、いつも美味しい。 普段当たり前になっているこの景色も、休みの日に改めて見るとつくづくかっこいいなと思う。 何台も停められる大きな駐輪場は、実はサステナビリティを意味するもので、それに繋がるブレンドの豆もある。ロゴのカラーが1パターンに決められていないのは、多様性を意味している。 この他にも色々なところにメッセージ性があって、1スタッフとして、こうしたメッセージを伝えることの重要性を感じる。

ブルックリンをきっかけに、コーヒーについて、コーヒーに関わる人や物事について、関心を持った。 テイストや技術についてはもちろんだけれど、掘り下げて考えると辿り着くところは人なんじゃないかと思う。 根源に迫りすぎている気もするが、コーヒーに関してはむしろそれでいいのではないか。 コーヒーの木を育てているのは紛れもなく人であり、私たちが飲むコーヒーを淹れているのもまた、紛れもなく人であるのだから。 それに、貿易や〜組合といった、少しとっつきにくそうな文字が並ぶフェアトレードの取り組みも、最初はみんなこうしたコーヒーに対する感謝の気持ちから生まれたものだろう。 YARD Coffeeさんがチョコレートをカカオ豆から作る理由も、きっとそこにあるはず。 1杯のコーヒーが出来上がるまでの1から10を見ることはできなくても、知ることはできる。 それだけでもコーヒーに対する見方が変わり、これから先もコーヒー文化を繋げていくための大切なキーになると私は思っている。

さてこの記事が配信されている今日はクリスマス。私は美味しい食事と、食後のコーヒーで締めくくろう。 みなさんも素敵な夜を過ごせますように。

<About Ikumi>

大阪在住。コーヒーとは無縁だったが、2020年初春、エチオピアの味に感動しコーヒーに興味を持つ。趣味はアート制作、映画鑑賞、食べること。アート制作は主に抽象画を描いていて、自分の中で残したい感情が湧き上がったときに描いている。

<今日のKOHIIコース>

@YARD Coffee & Craft Chocolate 大阪府大阪市天王寺区茶臼山町1-3

@Brooklyn Roasting Company 大阪府大阪市浪速区敷津東1-1-21

A cup of KOHII with Love (執筆・編集:Ikumi)

コメント

まだコメントがありません。

アプリからコメントしてみてくださいね!