KOHII
長い下積みの先で見えた景色

Meets

長い下積みの先で見えた景色

本日のゲスト

小田政志 バリスタ / コーヒーコンサルタント / Founder of Swim 本文中 K=KOHII、O=小田さん

コーヒーの道へ

K:コーヒー業界に入ったきっかけとこれまでの経緯を教えていただけますか? O:18歳からコーヒーの世界に入りました。元々アートが好きで、東京のデザイン専門学校に行くお金を貯めるために近くの喫茶店で働き出したのが、コーヒーとの最初の出会いです。その喫茶店はたまたま自家焙煎の店だったので、種類もたくさんあり色々試して飲んでいくうちに、コーヒーって面白いなぁと思うようになったんです。 そこで働き出して1年経った頃、エスプレッソマシーンを入れた2号店が出来ました。どうすればラテアートを上手く作れるようになるか、美味しいコーヒーを提供できるようになるかを考え出したとき、地元島根にカフェロッソというすごい有名なお店があって。当時日本で最も有名なエスプレッソのお店だと認識しています。オーナーは3回日本チャンピオンになっていて、世界でも2位の実力の持ち主。ご兄弟でそれぞれお店をやられていて、弟さんも大会で入賞の常連、後の大会でもチャンピオンに輝いているのですが、運良く弟さんがやっているカフェヴィータで働かせていただくことになりました。この出会いが、コーヒーを生業にする大きなきっかけになりました。 カフェヴィータは大会とかにも出るようなお店で、すっごく厳しかったです。僕はこの店で一度もお客さんにコーヒーを作らせてもらえなかった。毎日怒られて、何回もやめようと思いましたけど、何くそっていう気持ちでなんとか4年間続けました。 その後一度東京を見ようと思い23歳で東京に出てきて、当時都内で有名だったお店で働き始めて、2年半そのお店にいました。

海外で即戦力になるために

ずっと海外に行きたいと思っていましたが、下積みがないと向こうで通用しないと感じていましたし、即戦力になれるように日本で一生懸命勉強しました。26、27歳になって、知識も経験も出来、テクニックにも自信があったので、もうそろそろいいかな、とコーヒー文化が栄えているオーストラリアに荷物とサーフボードを持って行きました。 ゴールドコーストから寝台列車でシドニーに向かったのですが、朝起きたら、荷物が全部盗られていて、サーフボード以外なにも残っていなかったんです笑、身一つで本当に何もない状態からのスタートでした。 シドニーには、都内で知り合ったオーストラリアのバリスタの友達がいたので、数日間泊めてもらうことに。ある日彼が働いているカフェに行ったら、その店に卸しているロースターのオーナーが来ていて、「なかなか店に来る人じゃないから、仕事をオファーするなら今だぞ!」と友達に言われすぐ声をかけに行きました。ラッキーな事に連絡をもらい、トライアル後に働かせてくれることになったんです。そこで、初めて焙煎も経験しました。 日本ってバリスタが働いて、ロースターが豆を焼いてっていうのが多いじゃないですか。でも向こうって1つのチームとして成り立っていて、チームにデザイナー、メカニック、サプライヤーがいたり、ロースター内で各セクションに最適な人が分けられていました。卸先のケアもすごくちゃんとしていて、コーヒーだけじゃない、働き方や、組織体制のことも学べました。

イギリスで発見したコーヒーの新たな魅力

オーストラリアで働き出して2年経ったタイミングで、その会社がイギリスでも事業を始めたんです。イギリスのボスがたまたまシドニーにきていて、働きたいですと話したら、イギリスに行けることになりました。 イギリスの会社は僕含めて3人。平日の3日間は焙煎、残りの2日間は配送やお客さんの全部のお店をまわってコミュニケーションと簡単なトレーニングと豆とマシンの状態を見に行くという生活でした。各地のお客さんのところへ行ったり、豆を運んだりというのはなんだか新鮮な働き方でした。 イギリスはミネラルを含んだ硬水で、エリアごとに味が違います。日本は水が恵まれているからそういうことはないんですが、ヨーロッパは地域によって全然味が違ったので、水に合わせてマシンや焙煎を調整したり、そのついでにお店の営業自体を手伝ったり。その時、こういう関わり方をしているロースターは日本ではまず無かったと思います。コミュニケーションをすごく大切にしていて、お客さんたちの名前や国や性格もメモに書き留めたりもしていました。各店舗で細かくレシピを調整したりもしました。 少ししてからは、卸先のお店の立ち上げの仕事が増えました。マシンのセッティング、バーのレイアウト、バリスタのトレーニングをするように。その頃、オーストラリアで出会ったイギリス人の友達と再会。彼は自分で業務用のマシンを買って車に積み、道端でコーヒーを手売りしたり、フェスで豆を売ったりしていました。そこに僕もジョインして、一緒にポップアップやフェスを回るようになってから、短い期間ですごい勢いで大きくなっていったんです。コーヒーを取り巻く周りの環境とか人との関わりなど、全てが新鮮で自由。こういう働き方もあるんだなって、コーヒーの新たな魅力を発見しました。

Swim Coffee Roasterのスタート

イギリスから帰国した時、お店をやるのは違うかなと思ったんです。やりたいお店の理想はあるんですけど、その理想が強すぎて、まだタイミングが違うなと。ちょうどその頃にNo.という代々木上原にあるカフェの立ち上げの話をもらったので、自分がロースターとして立ち上げて一緒に仕事をしようと思い、Swim を立ち上げました。

小田政志

オーストラリア、イギリスのコーヒーロースターで、焙煎やクオリティーコントロール等を行う生産部門で勤務。イングランド南部やロンドンの卸先のコーヒートレーニング、レシピ作成、様々な店舗の立ち上げを行う。ヨーロッパ最大規模であるロンドンコーヒーフェスティバル等、様々なイベントにバリスタとして参加。現在、東京を中心とした様々なコーヒーショップとコラボレーションしながら、ゲストバリスタとして活動。また、新規店舗立ち上げ時のコーヒー器具選定やバリスタトレーニング等、コンサルティングの活躍の場も広げている。 いよいよ次が最終回。小田さんの原動力や若い世代へのアドバイスなど、よりパーソナルな考えについてお聞きします。お楽しみに! A cup of KOHII with Love (執筆・編集:Saori, Shimakou)

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