KOHII
違和感を感じるすべてに問いかける

Meets

違和感を感じるすべてに問いかける

さまざまなジャンルで活躍されているクリエイターさんたちは、普段どのようにコーヒーライフを楽しんでいるのでしょうか。KOHII meets Creativesは、業界をリードする人たちやチャレンジし続ける人たちについてコーヒーを淹れながら、飲みながら深掘りしていく企画です。

本日のゲスト

Jeremy Benkemoun フランス・カンヌ出身 写真家・ビジュアルアーティスト J=Jeremy Benkemoun、K=KOHII

“個性が豊かな若者達の街”高円寺。駅を出て、商店街を歩くと漂う開放的な街の雰囲気。Jeremyさんの取材で初めて高円寺に訪れましたが、こんなに自由で、心地よい街が日本にあるのか考えさせられました。生活用品や雑貨屋さん、飲食店が並んだ商店街を抜けて路地裏に入ると見える本屋さんタタ。ここで私とJeremyさんの出会いが始まりました。

違和感に気づくきっかけ

K:普段はどういう活動をされているんですか? J:普段は写真家として、ファッション雑誌や広告の仕事をしています。他にもジェンダーやアイデンティティをテーマに、個展を開催して表現活動もしています。それと同時に「世の中の当たり前に違和感を問いかける」をコンセプトにIWAKANという雑誌をCreative Studio REINGから出版しています。IWAKANはフェミニズムやジェンダーをテーマに、社会問題とかカルチャー系のコンテンツを発信しています。IWAKANはREINGを介して集まった私を含む5人のクリエー ターが、編集長のいないフラットな関係性で各々コンテンツを制作しています。様々な視点を持 つ5人が、‟やりたい”という気持ちで集まったので、中々良い作品が作れています。

K:なるほど。そもそもみんなでIWAKANを作ろうと思ったきっかけはなんですか? J:もともとサムソンというゲイの方に向けた紙媒体の雑誌があったんですけど、それが出版されな くなったんですよね。実はサムソンがLGBTの方向けの紙媒体の雑誌としては最後だったので、本屋 さんにはLGBTの方に向けた雑誌がなくなったんです。社会の意識は少しずつLGBTに対して理解が形成され始めてきたけど、雑誌業界、書店からLGBTの存在がなくなっていくことに違和感を感じたメンバーが声をあげたことがきっかけです。 K:確かにそうですね。あまり本屋さんでLGBTの方に向けた本は数が少ない気がします。 J:そうです。 だからLGBTの悩みを抱えている方々に寄り添える雑誌をつくりたいと思い始めたのがIWAKANをつくりたいと思うようになった理由です。IWAKANはカルチャー系の雑誌として幅広いコンテンツ を取り入れて制作しています。実際、クィア(Queer)だけをターゲットにした雑誌ではなく、既存の性規範や男女二元論に違和感を感じる人々にターゲットを広げ、ジェンダーと政治の関連性など様々なテーマで幅広くコンテンツを考えています。 実際、多くの人の中にはLGBTQIA+について学びたいという想いがあっても、どこから学び始めれば 良いのかわからないことが多いんです。あとセンシティブな問題だと思われて深く踏み込まない、すぐ学術的な本を読みがちなのです。 IWAKANがカルチャー誌として、ジェンダー問題について知る入り口になってくれたら嬉しいです。

K:第2弾の中では憲法と関連づけたコンテンツがありましたよね。コロナの状況だからこそ政治 や情勢が密接に感じられて、それこそ違和感を抱く機会になりました。 J:ありがとうございます。実は第3号のコンテンツミーティングが、昨日終わったばかりなんです よね。第3号のテーマにも実は政治(書き方:政自)というテーマがあるんです。今の日本で起きているジェンダーと政治の関係性を取り上げる内容となる予定です。今回は少し深く踏み込めた気がして嬉しいです。 今後ともどのようなテーマになってもIWAKANの軸にはジェンダーがあります。読者の方々には、ジェンダーを通して様々な社会問題に目を向ける機会になってもらいたいですね。 K:個人としての作品づくりの際に、意識している点はありますか?

J:例えば作品集「無常」の溶け合っているような写真の場合は、ここ数年間で制作した写真で構成されています。最近話題になっているアイデンティティをテーマにした作品です。アイデンティ ティとは変わらず定義されるものだと考えられがちですが、私はアイデンティティとは永遠に流れ ているものだと思うんです。外と自分の内側の関係性というか、その人の人生経験で変化し続け る流動的で、影響されやすいものなんです。生きていれば永遠と外から影響を受けて、そして影響を与えます。 私の作品づくりは、自分の中であふれる抽象的な想いを表現するためにしています。言葉にする ことが難しいのですが、自分の場合は視覚的に唱えることができたんです。もし言葉にすること が上手だったら小説家になっていたかもしれませんね。

Jeremeyさんとの話が盛り上がつている最中、タタのオーナーである石崎さんよりコーヒーを出してくれました。半分さんの深煎りのコーヒー。シロップのようにトロッとした質感と深煎りならではの黒い色味が魅力的でした。

濃厚なコーヒーを飲み、生活の中で休符の時間を

K:一日の中で、コーヒーが飲みたいときはいつですか? J:私は本当にコーヒーを飲むのが好きなんです。毎朝、フレンチプレスでホットコーヒーを淹れて 飲んでいます。コーヒーを飲まないと1日が始まらないです。シャワーを浴びることと一緒で、コーヒーを飲んでエネルギーをもらいます。ある種のセレモニーのような感覚でしょうか。ランチの後にもコーヒーを飲んで、夕方にはタタにコーヒーを飲みに来ます。 K:すごい。一日中何杯も飲まれているんですね。 J:日によって飲む頻度は変わりますが、忙しい中でも、コーヒーを飲む時間を通して頭の中をリフレッシュできますね。IWAKANのメンバーとの打ち合わせは主に夜にあるので、他のメンバーは夜 眠れなくなるためあまり飲まないようにしていますが、私はすごい好きです。打ち合わせ中、話 の着地点が見えない時に、コーヒーを飲んでから打ち合わせを続けると気持ちを改めることがで きます。コーヒーは休符のような存在ですね。

K:どんなコーヒーが好きなんですか? J:私はボディ感が強くて、しっかり苦味のあるコーヒーが好きですね。これは文化的な背景も関 連していると思いますが、フランスでは、一般的にエスプレッソのようなイタリア系のコーヒーを好んで飲む傾向にあります。だから私は自分がコーヒーを淹れる時もかなり濃い目でコーヒーを淹れますね。日本はアメリカのコーヒー文化に影響されている印象があります。 “フランス人にとってコーヒーは人生”といっても過言じゃないほど、コーヒーを愛しているんで す。大学に入るために、17歳の時にパリに移ったんです。パリでは歴史の深いカフェがたくさん あって、大学生の時も毎日のようにカフェでコーヒーを飲みました。高円寺にもたくさん喫茶店 があって、よく行きます。日本の古い喫茶店に行くととても懐かしい気分になります。 今はシアトル系のコーヒースタンドも増えきました。その反面、日本の喫茶店文化の歴史が長く、それらが今のコーヒーの文化を創ってきました。だからなのか長い間、コーヒーに向き合ってきたマスターと喫茶店のコーヒーが好きです。

誰かの居場所になるカフェ

K:Standartとのコラボレーションはどういうきっかけでされたんですか? J:IWAKANの1号目発売された時に、ありがたいことに思った以上の反響がありました。それで独立出版誌Standartの最新号の発売が同時期だったこともあり、カルチャー誌つくっているという点で蔦屋銀座でトークイベントをすることになったんです。 トークの内容は主にジェンダーについてでした。Standartでベルリンのクィアなバリスタ達についてのインタビューがあったので、カフェいうコミュニティスペースの大切さについて話しましたね。カフェという場所は不思議で、コーヒーを飲むだけでそこにはコミュニティができて、色んな議論の場所になるんです。とても興味深いトークイベントでした。

K:確かにそうですね。もしKOHIIとジェンダーというテーマでコラボレーションをするとしたらどういうことがしたいですか? J:コミュニティスペース、つまり居場所になれる場所は誰にとっても必要なことです。そういう意 味ではLGBTQIA+の方が安心していけるカフェなどを紹介してくれても嬉しいですね。同性愛者だとどこかに出かけるだけでも、すごい周りの視線を気にしてしまうんですよね。そして実際はLGBTQIA+の当事者がクィアなカフェを探すのも中々、難しいんですよね。求めてても行けていない人はたくさんいると思います。でもそういう場所が公開されることによって、居場所を見つけるという側面もあれば、反対にプライバシーの問題も生まれます。LGBTQIA+であることをカミングアウトしていない人も中にはいるので、例えばその場所に行って同僚にあってしまうことがあるかもしれないですね。だから本当にみんなの多様性を尊重する必要があります。

K:Jeremyさんは「偏見」から抜け出すための方法は何かありますか? J:何か新しいことに対しては判断せずに素直に受け止めた方が良いと思います。クィアが受け入れ られない理由は、そもそもクィアについて知らないという無知から生まれる恐怖なのです。実は思うよりクィアの人は自分の周りにいるはずなんです。でもみんなは誰かとの摩擦を避け、隠しています。 私が日頃から心がけていることは、反対意見も聞くことですね。一方的な意見の押し付け合いに ならず、誠意をもって対話をすれば、相手の輪郭が見えるようになり、そのうちに無知から生まれる恐怖もなくなります。 K:最後に、今後はどのような活動を展開していく予定ですか? J:本屋さんのタタが2周年記念で出版社になります。それに伴い自分の限定の写真集を発売する予 定です。そして9月17日にIWAKANの3号をリリースします。都内に限らず、全国の蔦屋書店なども展開しているので、KOHIIのユーザーのみなさんにもぜひ読んでいただきたいです。できれば取り扱いしてくれている書店さんを巡りながら全国ツアーががしたいです。一人一人読者と対話を通して、より近い存在になれたら嬉しいです。

<プロフィール>

Jeremy Benkemoun フランス・カンヌ出身の写真家・ビジュアルアーティスト写真家として、国内外のファッション雑誌及び広告の撮影をしている。同時にジェンダーをテーマにした個展を定期的に開催。IWAKANのクリエーターとして、ジェンダーを軸に様々なカルチャーや社会問題について発信している。

IWAKAN

タタ

半分

<KOHII Team>

A cup of KOHII with Love (執筆・編集:Jongmin, Shimakou)

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