KOHII
皆が幸せになるサステナビリティの形(中編)

Meets

皆が幸せになるサステナビリティの形(中編)

ゲスト

le fleuve (ル フルーヴ)ショコラティエ 上垣河大さん  (本文中 K=KOHII、U=上垣さん)

調理場では、大鍋で何やらぐつぐつと煮られているものが。あたりには甘酸っぱい柚子の香りが広がっています。 U:これは今、ゆずのコンフィを作っているところです。これ実は、自家農園や近所の畑から自分で収穫に行ったものです。洗って皮をむき、7日間かけて煮込みます。これをコンフィと呼ぶのですが、こうした伝統的なやり方で仕込んでいる所はもうほとんどなくて、業務用完成品を使うところが多いのが実情です。この仕込み方は京都のオ・グルニエ・ドールの西原さんにやり方を教えてもらいました。 ゆずの皮以外の部分は、地元の醤油蔵でポン酢になる予定です。このゆずは自然栽培なので無農薬。地元では季節になれば決まって市場に並ぶありふれた食材ですが、都会では「オーガニックの柚子」として高級品になったり。地方と都会で、価値のつき方の違いが面白く感じます。 K:ご実家の他にも、地元の農家さんからの作物を使っていらっしゃいますね。その他にはどんな方法で仕入れをされていますか?素材の決め手は? U:インターネットで検索したり、知り合いの紹介などで農家さんを見つけています。例えばいよかんは広島の農家さんから、金柑は鹿児島の農家さんから。一言で有機栽培と言っても色々あるのですが、僕はオーガニックの農家で育ったので、どんな風に生産されているのか、どれほどの愛情を注いで作られているのかは生産者さんとお話すれば分かります。 自然相手の仕事ですから、収穫量や時期にブレがあるのは当たり前。それにどう向き合うかに、作物への愛があらわれます。量を取る事を考えると、自ずと質は下がる。10個植えたら、7、8取れればOK。それが受け入れられればオーガニックは成り立ちますが、そこで利益率や流通の効率化を追い求めて、10個中10個を全て採ろうとし始めると農薬が必要になったりとおかしくなってしまいます。

K:「シェフのきまぐれ不定期便」について教えてください。 U:これは、既存のビジネスモデルへの疑問からスタートしました。例えば、人気のお店の人気商品で、一年中買えるものってありますよね。例えばアップルパイだとして、アップルパイを一年中買えるようにしようと思うと、本来の林檎の旬とは合わなくなってしまいます。その需要に応えるために、生産過程で旬を引き延ばしたり、素材を加工して1年、2年持つようにして、一年中食べられるようにします。でもそれだと、食べる人にとって素材の旬が分からない。食べているものが元々どうあるものなのか、どこから来ているかを知らずに食べるのは自然じゃないと思います。 更にいつでも買えるようにするためには、売り切れないように沢山の在庫を抱える必要があります。そうすると、毎日必ず売り切れるごくわずかなお店を除けば、売れ残りや食材のロスは免れません。当然仕入れ代も無駄になるし、まずその材料を作ってくれた農家さんの苦労が無駄になってしまう。誰も喜ばない仕組みだな、と思って。 そこで、うちでは旬の果物などを農家さんからもらって、オーダー数を決めて受注生産という形を取る事にしました。それがきまぐれ不定期便です。名前にもある通り、何が入っているか、いつ届くかは食材次第。卵を使うお菓子なら、作れる量と時期はうちの鶏さん次第。 僕たちがいま食べてほしいもの、今考えている事、チョコの試作品なども入れたりしながら、それぞれその時の食材に一番合う、素材の味が感じられるお菓子をお手紙と一緒に詰め合わせて送ります。 いつでも買える従来のモデルと比べると不便ではありますが、食材と旬を理解して、信頼関係を築いた人からおすすめの詰め合わせが届く、そんな形です。お菓子って日々の生活必需品ではなくハレの日のものというか、日常の中の特別な時に食べて嬉しい気持ちになるもの。知らなかった素材や食べ方なども含めて、楽しんでもらえたら、と思って作っています。

いよいよラストの後編では、上垣さんが目指す「皆が幸せになれる働き方」や、上垣さん自身のライフスタイルについて。お楽しみに!

<プロフィール>

上垣河大/うえがき こうだい 1989年兵庫県養父市生まれ。中学生の頃から家業である農業・養鶏・養蜂の仕事を始める。2009年、洋菓子マウンテン入店。お菓子とショコラを基礎から学び、2012年からはショコラを任される。2014年に独立。毎年ジェイアール京都伊勢丹にて開かれるショコラの祭典「サロン・デュ・ショコラ京都」には自身のブランド、ルフルーヴ(le fleuve)として、2016年から出店を続けている。ショコラのコンテスト、ジャパン・ベルコラーデ・アワード2017では最終審査進出、入賞。2019年より、「サロン・デュ・ショコラ東京」での出店。次世代の若手ショコラティエとして活躍を期待されている。(公式ウェブサイトより)

a cup of KOHII with love (編集者:Aya)

コメント

まだコメントがありません。

アプリからコメントしてみてくださいね!