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シンガポールのコーヒー事情

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シンガポールのコーヒー事情

一年を通して暖かく、街中に緑があふれるシンガポール。湿度も高く、でも日陰に入れば、特に朝夕は過ごしやすい常夏の都市です。 中国系、インド系、マレー系、ユーラシアン、プラナカンなど、さまざまな文化・民族・宗教的背景を持つ人々が集まり暮らすシンガポールは、多民族国家ならではの魅力的な食文化も特徴。その中でも、コーヒーはシンガポールの人々にとって欠かせない飲み物です。

シンガポールでコーヒー、と言えば「kopi」

Photo by Alfred on Unsplash

何十年もの間楽しまれてきたのが “Kopi” (コピ)と呼ばれるコーヒーの飲み方。kopiとは、一般的にロブスタ種のコーヒーをバターなどの油脂と砂糖で深く揚げ煎りし、布のフィルターで濃く浸漬抽出されたコーヒーに砂糖や練乳を加えて飲む飲み物です。 近所の“kopitiam” (コーヒーショップ) で、ココナッツを使ったカヤジャムとバターを挟んだ甘塩っぱいカヤトーストと、ゆで卵と一緒に楽しむのが定番のローカル朝ごはん。 日本の喫茶店のモーニングのように、長らく人々の生活の一部となってきました。

Photo by Marcus Loke on Unsplash

多様な文化融合から生まれたkopi

元々はポルトガルの影響を受けマレーシアで生まれたというkopiは、シンガポールに渡り、その後中国系移民の文化の影響も受け、現在の形になったそう。 kopi、と頼むと練乳が入っているものが出てきますが、飲み方を好みで細かくカスタムできるのもkopiの特徴。お店で頼むときは、「kopi+練乳やエバミルクの有無+濃さ+甘さ+温度」の順で自由に組み合わせたオーダーをするのが一般的です。その組み合わせはなんと132種類ほどにも渡るのだとか! 基本のシンプルな例としては、「Kopi-O (オ)」と言えばミルクはなしで砂糖入り、「Kopi-Kosong (コソン)」と言えばミルクなし、砂糖なしのブラックコーヒー、「Kopi-C (シ)」と言えばエバミルクありの砂糖なし、など。 ちなみに、”O”は福建省の方言から、“C”は海南省の方言から、 “Kosong”はマレー語から来ている名前なんだそう。さまざまな文化の影響を受け、たくさんの人々に愛されてきたkopiはまさにシンガポールの魅力を体現する飲み物ですね。

Stranger’s Reunion

シンガポールの豊かな食文化はコーヒーシーンにも。セカンドウェーブはオーストラリアから

世界中にルーツのある、ありとあらゆる美味しい料理が食べられるシンガポールでは、その日行きたいお店を絞り込むのも一苦労。カフェも例外ではありません。 初めてシンガポールにスペシャルティコーヒー文化を取り入れたのは、Papa Palheta(現在のPPP Coffee)とThe Plain。どちらも2010年ごろに、世界屈指のコーヒーカルチャーで知られるオーストラリアのスタイルをシンガポールに持ち帰りました。 Papa Palhetaの創業者であるLeon Foo氏は2008年にメルボルンを訪れ、コーヒーの修業を。The Plainの創業者、Vincent Teng氏もまた、留学先のメルボルンで親しんでいた美味しいコーヒーを母国に紹介したい、とコーヒーショップをオープンし、シンガポールにそれまでのkopiとは全く異なるコーヒー文化を開花させました。

Nylon Coffee

急成長を続けるシンガポールのスペシャルティコーヒーシーン

現在、シンガポールのスペシャルティコーヒーの先駆者と位置づけられるのはPapa Palhetaから暖簾分けした Nylon Coffee。その他にも、同じくPapa Palhetaで経験を積んだバリスタたちが腕を振るう Stranger’s Reunionや、Alchemist, Bearded BellaやApartmentなど、ここ10年ほどで現在シンガポールを代表する次世代の人気ロースターたちが次々と登場し、活気あるサードウェーブカルチャーを作り出しています。 Common Man Coffee Roastersではカフェ・バリスタアカデミーを開講し、スペシャルティコーヒー文化を浸透させるとともに、人材育成やコミュニティ作りも積極的に行っています。

Apartment Coffee

スペシャルティコーヒーといえば、シングルオリジンの多様な味わいを活かす浅煎りがメインで、苦みよりも酸味を感じやすく、基本的にはドリップコーヒーには砂糖やミルクも入れないのが主流。 今でこそチャイナタウンやラベンダー通りなどの飲食店激戦区を訪れれば、メニューにスペシャルティコーヒーを見かけるのも珍しくなくなりましたが、スペシャルティコーヒーが受け入れられるまでには色々な苦労があったのだとか。 Kurasu Kyotoの姉妹店で、日本のスペシャルティコーヒーをサーブしているKurasu SingaporeのAngeloさんによると、まずネックとなったのがkopiとの大きな価格差だったそう。 一般的に低価格のロブスタ種で、1㎏あたり10シンガポール・ドル(日本円で840円ほど)のコーヒーを使用するkopiが1杯100円ほどで販売されるのに比べて、スペシャルティコーヒーは最低でもその数倍。 コーヒーの品種・品質の違い、公正な価格設定やトレーサビリティ、サステナビリティなど様々な背景を説明しながら、コミュニケーションを通して少しずつ理解を得られるようになったそうです。

Papa Palheta

慣れない味わいの違いも大きく、それまで「コーヒー」と言えば濃く煮出したような苦いコーヒーに練乳や砂糖をたくさん入れるkopiだったシンガポールでは、スペシャルティコーヒーは甘味や重さが足りないと感じるお客様も多かったそうです。 「kopiは年配の人々だけに限らず、全世代が簡単、早くて美味しい朝食として今も日常的に親しまれています。kopiを過去のコーヒー、スペシャルティコーヒーを新しいコーヒーとしてつなげて位置づけるのではなく、全く違う飲み物として売り出す必要がありました。また、ラテアートなど、見た目が印象的なものも初期には人気につながりました」と話すAngeloさん。彼をはじめとするバリスタ達の努力も実って、最近では浅煎りの人気も高まり、たくさんの方がスペシャルティコーヒーを求めて訪れるようになったそうです。 人々がカフェに行けないセミ・ロックダウン期間中には、シンガポールでもおうちでダルゴナコーヒーを作るのが大流行していたそう。また、住宅街にスタンドを開くお店も増えたそうで、街中に出ずとも気軽にコーヒーを買いに行けるようになったとのこと。シンガポールの人々の生活にとって、コーヒーの存在の大きさが感じられます。2017年には世界バリスタチャンピオンも輩出し、美味しいものに敏感なシンガポールの食文化も手伝って、シンガポールのコーヒーシーンはこれからも勢いよく成長を続けることでしょう。

Kurasu Singapore

Kurasu Singapore以外にも、美瑛出身のパティシエさんが腕をふるい、北海道産の牛乳で甘味たっぷりのラテを出す人気店や、沖縄の黒糖を使ったドリンクが売れ筋のカフェなど、日本のコーヒーシーンや食材に出会えるスポットもたくさん。 また自由に旅行に行ける日を楽しみに、おうちで気になるカフェリストを作ってみるのも楽しいかも。シンガポールに行ったら、ぜひ色々なコーヒーショップを訪れてみてくださいね!こんなkopiの飲み方試してみたい!このカフェが良かった、ここに行ってみたい!そんなコメントもお待ちしています。 A cup of KOHII with love (編集:Aya)

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