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土砂災害の無い未来を夢見て

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土砂災害の無い未来を夢見て

ゲスト

ソマノベース 西来路 亮太さん (本文中 K=KOHII S=西来路さん) ソマノベースは、土砂災害で亡くなる人を減らすために、森林保全・環境改善の観点から林業に関わるプロジェクトです。 林業とはどういうものかというところから、このプロジェクトを始めたきっかけ、今後の展望について話していただきました。

K:まずこのプロジェクトが始まった経緯を教えて頂けますでしょうか。 S:2011年の東日本大震災があった同じ年に紀伊半島大水害という水害が和歌山でありました。その被災者が代表の奥川自身であり、当時は実際に学校に通えなくなってしまったり、部活の後輩が亡くなってしまったそうです。 その実体験をきっかけにどのように土砂災害をなくしていけるのか、同じような経験をしなくてすむ人を増やしていけるのかと考えることからプロジェクトは始まりました。 K:なるほど、辛い経験からこのような被害をなくすために活動を始められたのですね。ちなみに西来路さんがこのプロジェクトに関わろうと思ったきっかけなどありますか? S:奥川と出会った時にその体験談と、「山づくりを行なっている林業という職業を通して土砂災害を無くしていける。林業のやり方を変えることが土砂災害の少ない未来を作れる」という話を聞いて、業界全体の構造を変えて行くことってすごい大きな壁で、そこに自分もチャレンジしてみたいなって思いました。 林業は、若い人たちが参入していない業界だけれど、未来を生きる僕らや、僕らの次の世代にとってすごく大事な仕事だと感じたのでジョインしました。

K: 素晴らしいきっかけですね、日本の未来について考える姿勢、自分も学ばなければと思いました。ソマノベースでの西来路さんのポジションというかその中でどんなことをされいるのか教えて頂けますでしょうか? S:林業って若い人たちには特に認知度が低くて、林業って何するの?っていうところからなんですね。 「木を切る職業なんだよ、農業とかに近いんだよ」って言って初めてなんとなく理解できるみたいな。それくらい若い人たちにとっての認知度も低いし、距離も遠い。特に都会だと尚更で、田舎出身の人の場合は、祖父が林業してましたとかがあったりするんですけど、僕の周りの友人とかの場合だと百発百中、林業って何?っていう形になるんです。 だからまずは林業に触れて知ってもらえるような、プロダクトなりビ ジュアルなりサービスを僕が作って、一般の人たちに触れてもらうきっかけを作っています。林業と一般消費者の間に僕が入るというイメージです。組織全体としては、業界の構造を変えていかないといけないし、行政とのやりとりもしないといけないけど、僕は特に一般の人たちというところに特化して林業の見え方を変えたりとか関わりを作ったりとかそういうポジションで働いています。

K:まずはやってみてもらうっていうのは本当に大事ですよね、私も林業についてもっと知りたくなってきました。今特に感じているチャレンジとかはありますか? S:現在進行中の『戻り苗』という製品ですね。その製品は一般の人たちをただ消費する側として巻き込んでいくのではなくて、自分たちが林業に携わるものとして巻き込んでいこうとしています。 例えば農業とか漁業とかで無農薬のものを買いませんか、社会にいいものを買いませんか食べませんかではなくて、実際に自分がやっている行動が森林環境の保全とか基礎災害の防止につながるという、一般の人たちを林業界に巻き込んでいくことにチャレンジしています。

K:サイト拝見しましたけど、自分の育てた苗を2年後に和歌山の山に植林するというのが観葉植物と同じように育てて行くけど、実は植林の手助けになっているっていうのが素晴らしいなと感じました。西来路さんが林業のプロジェクトをやっていくにあたっての心境の変化とかってあったりしますか? S:楽しんでやるようになったというか、義務感がなくなりましたね。社会のためにやるんだみたいな最初の意識から、シンプルに人のワクワクをどう作ろうかなって考えることが楽しくなってきてます。そのフィールドがただ林業であるという感覚に変わりました。 それは周囲とのコミュニケーションにおいても同じで、社会課題に取り組んでるというと難しく思われるんじゃないかなって思ってしまっていたのですが、今はそれがラフに話せるようになっきました。社会のためにやろう!ではなくて、普通に楽しいからやろう!みたいな。それが言えるようになったのは、僕だけが変わったのではなく社会全体の関心も高まりつつあるからかなって感じてます。 K:確かに今の社会は環境問題などに関心が高まってると私も感じます。今の課題などはあったりしますか? S:これ一般的に知られていないと思うんですけど、 現在、日本の建築とか家具とかに使用されている木材はほとんど外国産なんです。なぜかというと、第二次大戦後、焼け野原になった街を再建するために木材需要が高まり、木はめちゃめちゃ売れたんです。日本の山がほとんど禿山になるくらいに。それでも足りずに植林はしてたんですけど、植えた木を切れるまでは約50年かかるので、その間足りなくなった木材を海外からの輸入に頼るようになったんですね。 ただ今ではもうそれが当たり前になってしまっていて、ちょうど50年経っていて切る時期なんですけど、全然日本の木が売れてない状況なんです。 一般的な認識として、森林伐採は良く無いことだってイメージを持たれているんですが、「木を切る=悪いこと」 は実は間違いなんです。木を切りすぎるのも良くないし、切らなさすぎるのも良くない、適切に管理しないといけないんです。伐って、使って、植えるという循環を守る必要があるんです。

K:完全に木を切ることがダメだと勘違いしてしまっていました。確かに何でもそうで極端は良く無いですもんね。 S:木って水分を山に蓄えてくれたりとか、地面に根を張って掴んでくれたりするので、自然と土砂災害を防ぐことができる仕組みになってます。ただ、木が多すぎると一本一本の木が痩せて弱くなってしまったり、日光が地面に当たらなくなり、スポンジが水をたくさん含んだような状態になってしまったりと、崩れやすい山になってしまうんです。 そのためにもっと日本の木材を適切に消費しないといけないし、適切に管理できるようにもっと人員を増やしていくことが今は必要です。 K: 先程、海外から輸入していると話されていましたが、日本の木材に切り替えられない理由はどういったことがあるのでしょうか? S:そもそも外国の山と日本の山には違いがあります。海外の山は比較的平たい地形に木が生えているので、一気に切って運び出せるんですが、日本の山は急勾配で、大規模な効率化ができず、海外ほど大量に運び出すことが難しいなど、様々に複雑な理由があります。 K:なるほど、そうなってくると林業の方達の経営ももちろん厳しい状況ですよね。 S:そうですね、かなり厳しい状況で、木材単価が1980年とかに比べると4分の1ほどまで下がっています。なので国の補助金で何とか持ち堪えている状態です。 K:そこまで下がっているのは驚きました。もっと林業界に人を参入させるにはどういった課題がありますか? S: 例えば小学生のなりたい職業を見た時にYouTuberだったり、野球選手だったりがよく挙げられるじゃないですか、それは何でかっていうと身近に知る機会があるからだと思っていて、YouTubeってどんな仕事なんだろう、どれくらいお金が入るのだろうっていうのを子供たちはイメージできるんでしょうね。 大学生だと、就職先に選ばれるのは大手とか銀行とか先生とかですけど、それも先輩がそこにいたりとか、大手だから名前がよく知られていたりと、情報が入ってきているからこそ選ばれる確率も高いし、目指す人も多いのではないかと。 だから林業家ってこんな仕事しているんだよとか、こういう良い面と悪い面があるんだよっていう情報をちゃんと若い人・次の世代の人たちに発信していくことが重要だと思っています。 もちろんそれを情報発信していくだけではなくて、面白いものとか、かっこいいものとして発信していくことまでがすごい重要だと思っていて、今働く世代はもちろんお金も重要だけれどそこだけじゃなくて、社会に対する貢献欲求なども仕事に求めている時代だと思うので、そこは林業がすごいアドバンテージあるなと思っててその強みを生かしてどう発信していくのかっていうのが大事だと思っています。 K:確かに今の若い世代の人たちはバックグラウンドを見て共感してから会社を選んだりする人が増えてきていますよね。 私たちが今できることは何がありますか? S:募金とかでこのお金は森林保全に役立てられますって見かけたことあると思うんですけど、それって具体的に何されてるのかわからない人が大半だと思うんです。とりあえずお金入れたからOKみたいなところで終わってしまっていると思ってて、その少し先を知って欲しいです。 今やっている『戻り苗』は自分で苗を育てて、その苗を山に返してそこから太い木になり、その木がまた消費者の元に渡っていくという人と木の間に流れる循環をそのまま体験できるという製品になっているので、買わなくても、戻り苗の広報とかを追ってもらうと土砂災害ってなんでおきてるのだろうとか、何で林業って守らないといけないんだろうとかを追っていけるので、是非見て貰えたら嬉しいです。 K:最後に林業を通じて私たちに伝えたいことを教えていただけますか。 S:世の中に社会課題ってすごくあって、教育格差の問題、森林保全の問題、ゴミ問題とかいっぱいあるので、全てに興味を持つのって難しいと思うんです。 その中でも僕たちは森林についていかに興味持ってもらうかっていうところを大事にしないといけないなって思うし、一般の人たちは何か一個でも良いから社会課題について調べてみたり、そもそも社会課題というものがあることを知って欲しいし、メディアで語られていることってあくまで一部でしかないので、実際に現場の人に話を聞いてみるとか、そういう社会課題のために作られた商品を一個買ってみたりとかをやってみると自分でしか得られなかった発見というかものを得られてさらにその課題に自分が主体的に参加するきっかけになるのではないかなと思ったりしてます。 K:実際に体験することで調べること以上のものが得られますよね。本日は本当にありがとうございました。 A cup of KOHII with Love (撮影・執筆:Tomoki)

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