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自分を生かして、他人も生かすコト

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自分を生かして、他人も生かすコト

震災から10年間、コーヒーを届けた先の景色

K:東北でコミュニティづくりに携わるようになったきっかけはありますか? E:私は出身が宮城県で、震災以降から継続的にボランティアをしてきました。その時にお世話になった方々に恩返しをしたいと思うようになったことがきっかけです。活動としては、コーヒーを通して地域の人々が癒やされ、交流できる機会をつくっています。また地方の農家やクリエーターさんと都市部の方々の架け橋となるようにネットワークづくりにも努めています。

K:活動をしていく中で、困難はありましたか? E:ボランティアをするにあたって、被災者の心境に寄り添うことがとても重要だと実感する瞬間が多くありました。震災が起きて間もない頃、ボランティアに行った際に被災地の方々はコーヒーで心を癒やす余裕もなく、目の前に流れてきた残骸を片付けることに精一杯なんです。どうしても、被災地の方々とボランティアメンバーの間の温度差を感じました。 K:想い通りにならないこともたくさんあるんですね。 E:そうです。気持ちの温度差は被災地と都市部の間にもあり、例えば福島だと特に、風評被害は少なからず今もあります。どれほど検査を行っていても、一度生まれてしまったイメージを変えることには時間を要するのだと実感しました。確かにお子さんがいらっしゃるご家庭だと特に気を使われると思います。そのような気持ちは理解できるけど、自分が正しいと思う価値観と消費者との価値観の差異に、驚いてしまいました。

K:継続的にボランティアをする中で、変化はありましたか? E:自分自身も震災を経験しましたが、震災直後は、映画でも見たことがないアスファルトがひび割れてる光景が広がっていたんです。家族と連絡がつかず安否も確認できない不安な気持ちが続く中で、みなさん言葉では言い表せない体験をされてるわけなので、無表情になってしまうんですよ。その中でも温かいインスタントコーヒーを握るだけで、顔の緊張がほぐれていった、少なくとも私にはそのように見えました。だんだんと顔色が良くなり、最後には笑顔になってくれた気がします。その経験が今、コーヒーを通して人々に寄り添いたいという想いにつながっています。それから毎年コーヒーを淹れに訪れると、とても暖かく迎えてくれます。震災後に一度、すべてがゼロになりましたが、ここから新しい創造が生まれくると思います。

和紙を通して、人と環境に優しい循環を

K:和紙に興味を持たれたきっかけはなんですか? E:DDD HOTELの社訓である“Live and Let live、自分を生かして、他人も生かす”のもと、1ヶ月ほどお休みをいただく機会に、たまたま和紙の原材料になる楮(こうぞ)から和紙を製作するというセミナーに参加したことがきっかけです。自然の中で作られる和紙の美しさに気づいてしまって、それから試行錯誤しながら和紙のフィルターづくりに挑戦しています。

K:和紙フィルターの魅力はなんですか? E:既存のフィルターもクリーンな味わいで抽出できる良さがありますが、個人的には人工的なイメージが消えませんでした。それに比べて、和紙は一つひとつが繊維になっているので、まるで人の脈を打っているような生命力を感じます。一つひとつの和紙が唯一無二な個性を持っているんです。このように日本の文化を代表する和紙だからこそ、その美しさは多くの人々を魅了すると思います。

K:和紙には繊細な美しさがあるんですね。 E:そうです。さらに、和紙の魅力って容姿に限った話ではないんです。和紙は植物性なのでコンポストすることができます。和紙フィルターは抽出後、コーヒー粉と一緒にコンポストし、農作物の肥料に使用できます。和紙フィルターの需要が増えてくると、抽出後のフィルターの回収に行きコンポストするまでの一連の過程を共有するコミュニティをつくりたいという目標もあります。 これからは、1枚1枚のコーヒーフィルターの概念を、「消費する対象」から「循環する対象」へと変えていきたいです。この環境に優しい循環を生み出せる可能性が和紙フィルターにはあり、魅力的な理由の1つだと思います。

遠藤恵美

abno ヘッドバリスタ、和紙フィルター製作者 現代の都市に生きる人々のためのコレクティブホテルをコンセプトにしたDDD HOTELの併設カフェ、abnoのヘッドバリスタとして、デンマークの「coffee collective」、オーストラリア「single O」などのスペシャルティ・コーヒを提供している。被災の経験から 東日本大震災をリセットではなく、リブートするアトリエ、Atelier Rensaを立ち上げ和紙フィルターの製作やコーヒーを通して得られる喜びを発信している。

Atelier Rensa

Abno

A cup of KOHII with Love (撮影:Shimakou 執筆・編集:Jongmin)

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