KOHII
Vol.27 変哲なユーモアに溢れるコーヒータイム

Journal

Vol.27 変哲なユーモアに溢れるコーヒータイム

ちょっとコーヒー巡りをしませんか?行き交う人々、流れていく時間を見て感じながら、飲むコーヒーが絶妙に美味しいと思う私たちは、いつもコーヒーで繋がる街を歩くKOHII Walkersです。気の向くまま、コーヒーのアロマに溢れる街、それぞれコーヒーを楽しむ人々との出会いを独自の目線で写真ストーリーに記録し、ここでシェアします。 こうして同じ写真でコーヒー、ヒト、マチの関連性を描く人と繋がりたい、日本各地のKOHII仲間と一緒にコーヒーの魅力を広げていきたいです。 Jongmin, KOHII Walkers@Oita

′あと5分...’ と、二度寝の甘い誘惑から抜け出せない。カフェイン中毒、ニコチン中毒。二度寝中毒。なんて煩悩に満ちた意志の弱い人なのだろうか。しかし、怠惰な自分に開き直ってしまえば、大して苦しみの原因でもない。 昔、お寺に入って煩悩に打ち勝つ修行でも積んだ方がいいのではないかと真剣に悩み、仏教の国に旅に出たこともあった。結果として、煩悩に打ち勝てたという訳ではなく、むしろコーヒーのない禁欲的な暮らしは自分には向いていないことが明らかとなった。世間から怠惰と言われても、二度寝をした上でモーニングコーヒーまでゆっくり飲むのが個人的なポリシーだ。開き直っているので、ある意味、人生を悟っているのかもしれないと少し自惚れてみたりする。

なのになぜ休日に限っては早起きしてしまうのだろう。朝5時半頃、太陽が昇る時間とともに目が覚めてしまう。何と闘っているのかわからないけど、少し負けた気分だ。今日の天気は雨上がりの後の晴れ。起きたからには仕方ない。とりあえずコーヒー飲みに行こう。

普段は別府にいるが、今日は電車に乗って隣町の大分市まで出かけることにした。 そもそも別府は朝に空いているコーヒー屋さんがない。街中に出ても昼間は昼寝している猫しか見かけない。のんびりとした街だから、早朝から急いでコーヒーを買う人なんていないのだ。その代わりというか、煙草を吸える喫茶店はまだ多いかもしれない。 コーヒーショップと街の関係性って密接で興味深い。ともかく絵が描かれているカフェラテを飲みたければ、隣町まで出かけなければならない。

@タウトナコーヒー

最初に足を運んだのは、大分JRの駅から数分で位置している「タウトナコーヒー」の赤レンガ店。この赤レンガ館は東京駅なども手掛けた建築家、辰野金吾(たつの・きんご)さんによって設計されたそうだ。洋風の歴史ある建物の中で、コーヒーを飲む。少しだけシティボーイになった気分だ。

私は「コーヒーの写真は一口飲んでから撮る」というこだわりがある。その理由は二つある。 一口飲んだコーヒーの方が不完全性があって美しく見えるという美学的な側面が一つ目。 そして、二つ目は温かいうちに味わいたいというものだ。カフェラテは特にあまり長くおくとフォームとミルクが分離して、飲むときの口当たりが変わる気がするんだ。

寒すぎず、暑すぎない。 過ごしやすい気温が続くこの頃の悩みは、ホットを頼むか、アイスを頼むか選びきれないことだ。シェークスピアの戯曲、ハムレットで登場する「to be or not to be, this is this the question(生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ)」まで深刻な悩みではないけど、to be hot or to be ice、ホットにすべきかアイスにすべきか。それが悩みだ。

そんな悩みを抱える中、選び抜いた答えはホットラテだ。 カフェラテという飲み物を少し温く、曖昧な立ち位置の飲み物だと感じてしまうのは私だけだろうか。でもその曖昧さこそが、この季節にカフェラテを頼みたくなる理由なのかもしれない。なんてまた一人妄想を広げる。

コーヒーも飲んだし、せっかく隣町まで来た。知り合いの古着屋さんに挨拶でもして、展覧会に行くことにした。

古着屋のcoloricoには大分来る機会があれば、よく遊びにいく。 私は古着にはあまり興味がない上にcoloricoの服は主にレディーズもの。 でも何度か僕のコーヒーを飲んでくれた店主さんとは仲がよくなって、本当に喋るためだけにお店にいく。あまり服も買わないのに、いつも笑顔で接してくれるのがありがたく、人柄に惚れている。今度、焙煎をしたら豆をプレゼントしなきゃ。

喋り終えた後は、大分県立美術館(OPAM)へ向かった。OPAMは阪神大震災後に建てられた建物であり、「紙の協会」で著名な建築家の坂茂(ばんしげる)さんが建築デザインを担当した。 陽当たりの良い日には、光と影のコントラストが出来てとても神秘的な雰囲気に変わる。こだわりのある建築設計からOPAMは地方に位置しているにも関わらず、印象派展のような大きい展覧会もよく開催している。世界と大分をアートの力強さで繋げる場所だ。

今回の展覧会は世界的なファッションデザイナーであるコシノジュンコ展「原点から現点」。高校時代のデッサンから現在までの作品が展示されているらしい。

ファッションは疎いけど、素人の自分でも圧倒される規模間の展示だった。盛大なファッションショーを見た気分になった万物の理といえば良いのだろうか。服のパターンを通して、空間を表現することができるんだと実感できた。普段、興味を示さない分野に触れるのも気づきが多いものだ。

@カモシカ書店

早朝に家を出たはずなのに、気づけば夕方近い時間になってしまった。家に帰る前に少し本のページをめくりたい気分になり「カモシカ書店」に寄り道する。

味わい深くて、読書する時に飲みたくなる「ハゼ・ブレンド」を注文した。なぜ読書する時は深煎りのコーヒーが合うのだろうか。喫茶店文化のなごりかもしれないが、個人的には本を読むときはすぐ眠たくなるので、少し苦味のあるコーヒーが目を覚ましてくれて良いと思う。

本の並びに店主さんのセンスと膨大な知識量を感じる。様々なジャンルの本が、その系譜を辿ってわかりやすく並べられている。 カモシカ書店に来るたびに、年をとればコーヒーにとてもこだわった本屋さんがしたいと思う。「あそこ、本屋なんだけど、あのお兄さん、実はコーヒーにもとてもこだわりがあるらしい。」とお客様から噂が広がるお店がいいな。なんてことを思いながら、自分のコーヒーとの距離感をはかる。

美味しいコーヒーを飲みたいなら、お気に入りのコーヒーショップで豆を買って、レシピ通り淹れれば良い。でも正直、同じ豆で淹れるコーヒーならば、人に淹れてもらった方が美味しく感じてしまう。自らこだわり抜いた一杯のコーヒーもあれば、気づけばそばにある一杯も必要なのだ。そう考えれば、コーヒーの文化的な本質は、くだらない怠惰さの中に潜められた変哲な美学かもしれない。

<今日のKOHIIコース>

@タウトナコーヒー 赤レンガ店 〒870-0021 大分県大分市府内町2丁目2−1 赤レンガ館

@カモシカ書店 〒870-0035 大分県大分市中央町2-8-1-2F

A cup of KOHII with Love (執筆・撮影:Jongmin)

コメント

まだコメントがありません。

アプリからコメントしてみてくださいね!